オークションやフリマを上手に活用すると、節約になりますよね。
でも私は30代半ばまでオークションとは縁がありませんでした。
結婚して二年目のことです。
オークションとの出会いは、なかなか劇的なものでした。
私が在宅ワーカーになったいきさつ
ずっと予備校で教えていて仕事大好き人間だった私ですが、結婚後は続けることができませんでした。
夫が転勤族だからです。
辞令が3月に出るとは限らず、受験まできっちり見ることができない可能性が高いため、受験業界から身を引かざるを得ませんでした。
そして2~3年おきの転勤を大前提に色々と考えた時、在宅ワークが最も他人様に迷惑がかからず、自分のストレスも少なくてすむという結論に至りました。
まず始めたのは、スカイプを使って英語を教えることです。
これは当時たまたまTOEICを控えた知人に頼まれ始めたことですが、週に2回ほど授業をしています。
しかし収入としてはまだまだ足りません。
何を始めようか考えていた頃、趣味で出かけた骨董市で、ある露店の店主と意気投合したのです。
実はこの出会いがオークションのきっかけとなったのですが、まさか自分が売る側に回るとは思いもよりませんでした。
青空の下、呑みながら決まったビジネス
関西某所で毎月開かれるその骨董市は、かなり大規模で面白い。
そんな噂を聞き、初めて行ってみた時のことです。
それは二日続けて行われる市の初日で、晴れ渡った空の下、数百の露店が軒を並べていました。
その中に私好みのアンティーク食器ばかりを扱っているお店があり、思わず足を止めました。
昭和の時代に作られたレトロポップなグラスを手にとり、「これいくらですか?」と店主に質問すると、返ってきた言葉が
「コーヒーとビール、どっちにする?」
えーと何の話だろうと思いつつ再び「このグラスいくらですか?」と私。
「まあええやん、ゆっくりしてき。ビール呑めるか?」
呑めるどころか好物ですから、遠慮がちに「はい…」と答えつつ、店主のおっちゃんの隣に腰かけます。
そして世間話やら骨董の話、果てには政治や経済についてまでビール片手に気ままに喋り、最後にグラスを買って帰ったのでした。
その日はビール2本とつまみまでごちそうになったので、翌月、私はお礼にビールと玉こんにゃくを持っておっちゃんのお店に遊びにいきました。
「先月はごちそうさまでした。」と言って差し入れを渡し、たわいもない会話をしていた時、突如お店を手伝わないかと提案がありました。
以下、実際にあった会話です。
私:ここの骨董市いつも楽しいけど、おっちゃんとこの商品が一番好みやわ。
おっちゃん:ほな売ってみいひんか?ネットオークションゆうのがあるやろ?
私:え、私が?
おっちゃん:そうや。好きなもん好きなだけ持って帰ってええから、好きに売ってみ?売り上げは折半てことでどうや?お小遣いくらいになるやろ?
私:あのですねえ。好きなだけ持ち帰っていい言うて、私がごっそり商品持ち逃げしたらどうするの?知り合うたばかりの人、カンタンに信用したらあかんと思う。
おっちゃん:大丈夫や。
私:しかもおっちゃん、ビール呑んで酔うてるやろ?商売の話は素面でせな。
…いや~びっくりしました!
まだ二回しか会ったことがないのに、好きに商品を持ち帰ってオークションにかけていいと言うんですから。
しかしその後も行く度に同じことを言ってくるうえ、他に持ち掛けている人はいないもよう。
一度素面で会って話を聴いてみようと店主の職場を訪ねてみると、本業はロボットを作る会社の社長じゃないですか!
しかも骨董市で会っている時と言うことも態度もまったく変わらない!!
市では酔っ払いだと思っていたけど、昼間でも変わらないんですね…(笑)
店主は本気なのだと解ったし、稼げる新たな手段を逃したくなかったので、さっそくその日に売りたい商品を持ち帰り、骨董の勉強を始めたのでした。
おわりに
それにしても不思議な縁ですが、後で聞いたところ、私のことは「絶対に信用できる」と確信したのだそうです。
その根拠を尋ねてみると
「市でな、わしがコーヒーだのビールだのふるまうやろ?たいがいは『また来るね~』言うても口だけや。けど美知花ちゃんはちゃんとお礼持って来たやろ?礼節が身についている。そういう娘はなかなかおらん。」
とのこと。
ビジネスチャンスはどこに転がっているか分からないものですね!
というわけで、私がオークションを始めたきっかけのお話でした。
次回はその後、「オークションをどのようにして軌道に乗せたか」について書きたいと思います!